神楽坂のちょっと裏路地に入ったところに喫茶店「トレド」という古い店があります。
ここの名物は創業当時から継ぎ足し続けているというカレー。
創業は1972年ということなので、約37年の歴史があるカレーだそうです。

そんな老舗喫茶店が今年7月、東京理科大学の拡張等に伴う再開発によっていったん閉店してしまうとのこと。
なんだか気になったので、早速行ってみました。


喫茶店「トレド」。


神楽坂のにぎやかな路地から1本横道にそれただけで、がらっと雰囲気が変わってしまいます。
道も細く、下町っぽさがあふれる感じです。

店主自ら手書きで描いたような味のある案内板に案内されながら進んでゆくと、喫茶店「トレド」がありました。
でも案内板には「二丁目定食・トレド」と書かれていました。
どちらかというとメインは食堂なのでしょうか。


喫茶店「トレド」。

店内は実に「昭和」の香りが漂う喫茶店の風貌で、テーブル席はなくカウンター席のみ。
近くの大学生とおぼしき人が数名、入っていました。

厨房にいるのは店主のおじいさん1人。
カレーを注文して、まったりとできるのを待ちます。
店内の雰囲気といい、実に渋くてよいですね。
行き当たりばったりでこの店に入ってしまったら、大丈夫なのかとちょっと心配にもなる風貌です。


喫茶店「トレド」のカレーライス。

しばらく待って、カレーライスがやってきました。
カレーライスにサラダが付いて、650円。
さらに大学生だと100円引きになるのだとか。

早速カレーを食べてみると、辛さが最初に来るけれど、全然辛くなく、マイルドな辛さ。
長年煮込んだせいなのか、肉汁や完全に形をとどめなくなった野菜の旨みが凝縮されたカレーで、「柔らかいカレー」という表現がしっくりくるでしょうか。
肉などの具が柔らかいということもあるけれど、カレーの風味自体がなんというか「柔らかい」、そんなカレーでした。


黙々とカレーを食べていたら、ちょうど店の電話が鳴って店主が応対していたけれど、どうやらセールスのようで断っていたみたい。
電話が終わった後、「ソーラーパネルの会社からの電話だった。あと1ヶ月でこの店が壊されることを知らないらしい」と自嘲的に語っては笑ってました。

お金を払った後、帰りがけに「まだ営業してますんで、また来てください」と言われたのは嬉しかった。
再開発による一時休業もあるけれど、商売を最後まで続けるという意思が強いのでしょう。


神楽坂再開発が終わり、2年後の2011年には再びこの場所で食堂兼喫茶店を再開するそうだけど、たぶん綺麗なビルの1テナントになってしまうのだろうなぁ。
古きよき昭和の雰囲気を味わうなら今のうちなのか。
「孤独のグルメ」のような雰囲気が好きな人には、オススメです。


※「37年つぎ足しカレー」の行方は?~神楽坂の老舗喫茶、今夏一時閉店 - 市ケ谷経済新聞
http://ichigaya.keizai.biz/headline/587/

※喫茶店トレド(閉店)

住所:東京都新宿区神楽坂2-6
TEL:03-3268-5531



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